「元パタンナーです」なんて名乗っている私ですが、「そもそもパタンナーって何?」という方のために、パタンナーについてできるだけ簡単な言葉でわかりやすく解説します。
簡単に言うと“パタンナーは洋服の設計士”
まず、アパレルメーカーでの服が出来るまでの過程をざっくり三つに分けます。
①ブランドの企画メンバーで話し合い、デザイナーがデザイン画を描く。
②パタンナーがパターン(型紙)を引き、仕様書(縫製士に向けた指示書)を作成する。
③必要な材料とパターンを縫製工場に送り、縫製士が縫製する。
実際にはもっと沢山の人が関わって服は完成するのですが、すごく簡単に分けるとこんな手順です。
上記の②にあたる、洋服のパターンを作るのがパタンナーの主な仕事です。
服のパターンとは、
こんな感じのものです。どこかでご覧になったことはありますか?
このパターンに沿って生地を裁断し指示通りに縫製すれば洋服ができるのです。
パタンナーはこのパターンと、作り方を細かく説明した仕様書を作成するのが仕事です。
作業形態としては、パソコン内のCADソフトを使ってパターンを引く会社が多いです。コレクションブランドだと手で引いているところもありますが、最終的には紙をスキャンしてデータ化するところが多いです。
ほとんどデスクワークですが、立って作業している時間も結構あります。
デザイナーや取引先との打ち合わせも多く、人とコミュニケーションをとることがそれなりにある仕事です。
もっと具体的に!パタンナーの仕事内容
では実際にパタンナーがやることを細かく解説していきます。
会社にもよりますが、パターンだけ引いていればいいというわけではありません。(そういった会社もあるにはありますが)
私の経験した仕事内容にはなりますが参考にしてみてください。
●パターンを引く
●トワル(試作)を縫う
●仕様書を作成する
●必要な資材を計算し、発注する
●サンプルをモデルに着せて修正
●サイズグレード
●生地の品質管理
●商品の検品
●縫製工場への出張
●市場リサーチ
●広告撮影などのフィッティング
●セール時の応援販売
などです。
ほとんど上の4点に時間を費やしますが、やることは色々ありますよね!
もちろん会社によって内容は様々です。
はじめの1年間は販売員として店頭に立つ。なんて会社もありますよ!
パタンナーの醍醐味はコレ!
私自身まだまだ語れるような経歴ではないのですが、パタンナーをしているとこんなことが嬉しかったりします。少し個人的な意見になっているとは思いますが、ご覧ください。
●頭に思い描いていたシルエットが完成した時…ほんの2ミリの修正でガラッと変わることもあるパターン。何度もトワル(試作品)を組んで修正に修正を重ねた時は達成感が半端ないです。
●パターンに個性が出てきた時…何年かやっていると自分の得意なアイテムや得意なシルエットがわかってきます。(万能に越したことはないのですが…)トワルを見ただけで誰が担当したか当てられてしまうほどです。そしてデザイナーに「きれいめワンピースはあなたに任せるわ!」なんて言われた日には感激しちゃいます。
●生地を無駄なく使えるパターンを引けた時…必要な生地を最小限に抑えることはコスト面でもとても重要な仕事です。生地幅に収まるようにパターンを修正したりポケットなどの小さいパーツをパズルのように並べて生地に対してパーツがぎっしり埋まった時は快感です。
●自分の担当した商品を着ている人を街で見かけた時…これはパタンナーだけに当てはまる話ではないですが、やっぱり嬉しいです。普段は9号のトルソーに着せて作業するので色んな体型の人が来ているのを見ることができてとても興味深いですね。
パタンナーの仕事に慣れてくると各々自分のこだわりを追及しだしたりします。なんだかんだパタンナーって職人気質の方が多いですね。そしてみんなとても楽しそうに仕事をしています。
服を作るのが大好きなんです!
パタンナーになると身につく力
どんな職業でも毎日続けていたら簡単にできるようになることや、覚えてしまうことってありますよね。パタンナーの場合はこんなことが自然と身についてしまいます。
◆直線定規でカーブが引ける…これは学生時代に備わる方も多いです。私の通っていた専門学校の先生は「直線定規で綺麗なカーブが引けなきゃダメよ!」なんてことをよくおっしゃっていました。実際にプロはほとんどカーブ定規は使わないと思います。
◆目分量がかなり正確…これは職人あるあるですよね。毎日メジャーを首にかけて長さを測るような仕事ですから1メートルくらいまでならほぼ正確に当てられます。
◆服を見ただけでパターンが思い浮かぶ…服を見ると、頭の中でパターンを思い浮かべちゃいます。アニメキャラクターの衣装などはとても興味深く見てしまいます。
買い物に行った時、欲しい服が大きいサイズしかなかった時は自分でお直しできてしまうので、買ってしまうこともしばしばです。
パタンナーは最強!?
私は服飾専門学校に入学したばかりの時はデザイナーを目指していたのですが、学校でデザインとパターンを学ぶうちにパタンナーにシフトチェンジしました。
それはなぜかと言うと、まずパターン(型紙)がないと服が作れないし、パターン次第で服のシルエットや着心地がガラッと変わるからです。
デザインはイメージが浮かべば誰でもできます。例えば「〇〇(海外のハイブランド)のコートみたいな形で色と素材を変えて裾のところにレースを追加してみよう!」とか言うだけでもデザインになるからです。よく有名人がファッションブランドを立ち上げたりするのは、専門的な知識がなくてもデザインはできてしまうからです。(実際の企業デザイナーさんは細かい仕事をたくさんこなしていますしパターンの知識もかなりありますが)
どんなに頭の中にイメージが浮かんでいても、それを形にしないことには服はできません。そして、それができるのはパタンナーなのです。
ということは…
デザインのイメージとパターンの知識があれば一人で服が作れてしまうのです‼︎(縫製まで出来ればですが。)
私は学生時代、友人の結婚式に着ていくドレスがなくお金もなかったので、生地屋さんに駆け込み1メートル100円の生地を3メートル買い、家にあったスパンコールやビーズを縫い付けてドレスを作り、式に参列した経験があります。
これは極端な話ですが、そういったこともできてしまうのはパターンが作れるからに他ならないのです。
思い描いた服を自分で形にできてしまう。これってけっこう便利です!
一人がデザインとパターンの両方やっている会社もある
アパレルメーカーだとデザイナーとパタンナーに分けられがちですが、デザインからパターンまで一人で担当するような会社もあります。コレクションブランドに多いです。
自分のクリエーションを磨きたい方はそういった会社に挑むのもアリだと思います。
まとめ
これでパタンナーの魅力が少しでも伝わりましたか?
会社によって仕事内容は多少異なりますが、少しでもパタンナーに興味を持っていただけたら嬉しいです。
パタンナーになるにはどうしたらいいのか知りたい方は「【パタンナーのなり方ガイド】元大手企業パタンナーが徹底解説!」をご覧ください。
最後までご覧いただきありがとうございました。
コメント